老いても病んでも回転ずし

体力の衰えは知的生活で補おう。老いても病んでも例え病床にあっても十分楽しい生活は送れます。

‘漏電’

 昨夜11時ころのことです。誰かブツブツ言いながら廊下を歩く気配がある。こんな時間に誰だろうと思って覗いて見た。M(婆)さんである。
〈どうしたんですか?こんな時間に、、〉
すると疲れきった声で「私の部屋漏電してるんです。寝れないんです。」〈漏電?!電気は灯くんですか、部屋のどこが漏電してるのですか?〉
「ベッドです。ベッドに寝るとピリピリ来るのです」
〈何時からですか?〉「だいぶ前からです」
〈だいぶ前!、誰か施設の人に言いましたか?〉
「言いました」
〈それで?、対応してくれましたか?〉「ええ直ったと言って帰りました」
〈じゃあどうして又?〉
「それが治ってないんです。今日もピリピリ来て寝られないんです」
「もう電動ベッドは怖くて寝られない」と、
〈??!、怖いとか何とか言うことより危いじゃないですか。直ぐに職員を呼ぶか、こんな時間だし、よろしかったら僕一度見せてもらってよろしいか。部屋に通してください。直せるかどうか分かりませんが危険なら直ぐに何とかしなくては〉
〈どの辺ですか、コンセントは?〉
「コンセントは何処か知りませんが、ベット全体です。寝たらピリピリくるんです」
〈今日はベッド止めておこたで寝ますか〉
「おこたも漏電してるんです。部屋中寝たらピリピリきて痺れるんです」
〈ん、、?!〉 そうか、見に来た職員が《直った》と言って帰った理由も分かってきた。 “年寄り漏電”つまり‘体内漏電’のことなのだろう、そりゃあちこちピリピリくることがあるのかも、、
本人は「そんなことない、寝たら痺れるんや。漏電してるのや、部屋を替えてほしい」と、、
昨夜は本気に心配してあちこち潜り込んだり右往左往した。翌朝職員に労われた。
そうか、おばあちゃんの漏電かあ?
人格を尊重しつつ適当にあしらうのは難しい。